自筆証書遺言について

 自ら遺言書を作成することができれば(自筆証書遺言といいます。),手軽で費用もそれほどかかりませんが,この遺言の場合,民法上約束事がいくつかあり,それに反した場合は,遺言自体が無効となってしまいます。例えば,以下のような約束事があります。

1自筆で書く必要がある。

 遺言書の全文について,自筆で書く必要があります。ただ,近年の法改正により「財産目録」だけは自筆で書く必要がなくなりました(署名・押印は必要です。)。

2正確な日付を書く必要がある。

 「令和3年6月吉日」などと不完全な日にちを書いただけで無効となってしまいます。

3氏名を自筆で署名する必要がある。

 全ページについて自ら署名をする必要があります。

4押印する必要がある。

 氏名と様,前ページについて自ら押印をする必要があります。必ず実印であることは求められていませんが,実印を使用した方がよいです。

5訂正した場合のルールが複雑である。

 間違えた文字を二重線などで消し,正しい文字を書き,押印することはもちろん必要ですが,それ以外にも,欄外に「上記〇中,2字削除2字追加」等と記載して署名する必要があります。

 こうして見てみると,なかなか大変な約束事がありますね。しかも,以上の約束事を全て守って作成しても,遺言が内容的にちゃんとしているかどうかは別の問題になるのです。やはり,自筆証書遺言を作成する場合でも,形式面と内容面について専門家によるチェックを経る方が安全だと言えます。

2021年06月14日